こんちは!
たっつんでごわすよ。
ディーラーの営業マンに「うーん、この車だと値段は付きませんね」
「ですが、下取りに出して新車を購入していただければ5万円で買い取りますよ」とか言われたことはありませんか?
それならいいか、と思ったあなた!
是非ともこの記事を読んでいただきたい。
ということで今回は【アンカリング効果】について書こうと思います。
目次
アンカリング効果とは?
アンカリング効果とは、行動経済学者のダニエル・カーネマンが実証した行動経済学の1つです。
船の「錨(いかり)」のことを「アンカー」といいます。
アンカリングというのは錨を下ろすという意味です。
錨を下ろした船はその場に留まりますね?
つまり、「ある数字を見せられると、その数字から離れられなくなる」ということです。
実は私もバイクを売るときにこの手のアンカリングを使われたと今になって後悔しています。
それは出張買取をお願いしたときのことです。
買い取り業者「そうですねー、正直、この状態だと金額は付かないですね。0円です。」
私「そうですか、さようなら。」
買い取り業者「ですが、ちょっと待ってください。上司に連絡してみます。」
・・・
買い取り業者「今問い合わせたところ、ちょうど欲しいというお客様がいましたので、3万円までなら出せるということです。」
私「えーー、5万なら売りますけど3万なら売りません。さようなら。」
買い取り業者「分かりました。もう一度聞いてみます。」
・・・
買い取り業者「今上司に聞いてみたところ、特別に5万円で買い取らせていただくことが可能です。」
私「じゃ、5万でいいです。」
完全にアンカリングされています。
少しは頑張った方ですけど。
バイクもぼろかったし(笑)
この場合、まず買い取り業者さんは「0円」で私にアンカリングしてきたわけです。
私は0円と聞いたとき「マジか・・・」となりました。
しかしですよ、買い取り業者も5万円は「想定内」だったはずです。
それを見越したうえでまず「0円」を提示したということです。
幸い親父も一緒にいたので少しは抵抗できたとは思いますが、一人だったら3万で売っていた可能性もあります。
情報が少なく、自分が知らないことであればあるほどアンカリングは強く作用する
アンカリングは、相手が無知であればあるほど強力です。
知らないことだから「なにか基準になるもの」が必要になるわけで。
それがたとえデタラメな数字でも人は1度アンカリングされてしまうと簡単には抜け出せません。
私の経験談だって、文章にしてみたら詐欺にあってるみたいです(笑)
しかし、アンカリングは日々の生活になかで結構使われている手法です。
買い取り業者さんだって大手の会社ですよ、ちなみに。
交渉を有利に進める、また詐欺に引っかからないためにアンカリングは知っておいて損はないでしょう。
アンカリング事例
よくあるアンカリングを挙げていきましょう。
・結婚指輪は給料の3か月分
・おひとり様〇個までのお得なセール
・「予算は5万円です。」
などでしょうか。
結婚指輪は給料の3か月分
まず、よく言われている結婚指輪は給料の3か月分。
なんでですか?(笑)
実はこれ、高級宝石を扱うメーカーのマーケティングプロモーションによって作られた相場です。
初めて結婚する人はいくらのものを買っていいかわからない。
メーカーとしては高いものを売りたい。
よし、給料の3か月分にしちゃおう!
それに買う側としても、あんまり安いものはまずいと考えます。
安いと分かった瞬間に冷めてしまう女性もいるでしょう(笑)
これは価値=金額しか基準がないからです。
もちろん、指輪になんか金かけるか!という人もいますよ。
私は無理して3か月分の給料を指輪に使うなら一緒に旅行行きたいくらいです。
ですが、どこかで「給料の3か月分」という情報を得てしまった人は、その数字にアンカリングされやすくなります。
どうかお気を付けて。
おひとり様〇個までのお得なセール
これはアンカリングだけでは説明できません。
数量制限を設けたりするのは「希少性」などの心理的効果も働いています。
その辺は別の記事で書く予定です。
ここで言いたいのは、「具体的な数字を提示した方が売れる」ということです。
アイオワ州のとあるスーパーで、スープのセールを行いました。
まず数日間は「おひとり様12個まで」。
その後、数日間「おひとり様何個でも」。
どちらが売れたと思いますか?
制限された日の売れ行きは平均7個でした。
これは制限されなかった日の2倍だったそうです。
マーケティングとしては素晴らしい成果です!
「12個」というアンカリングによって、その数字に引っ張られてしまったと考えて間違いありません。
予算は5万円
これはまあ、要するに先手を打って「5万円」でアンカリングしてしまおうということです。
途方もなく離れた数字を提示するのは逆効果ですが、それなりの数字であれば相手がアンカリングしてくれるかもしれません。
例えば「10万円~」の商品の値段の交渉で「私は5万円しか出せません(キリッ)」と先に言ってしまえば、相手は無意識に「5万円」でアンカーを下ろします。
で、「うーん、仕方ないですね。では特別に7万円でどうでしょう?」と言わせたらしめたもの。
もうおわかりですね。
そういったお客さんの実際の予算は5万円以上だったかもしれませんね?
アンカリング対策
では、どうすればアンカリングに対抗できるのか?
実はこのアンカリング、注意していてもすべてに対策することはできないとされています。
なぜなら無意識にアンカリングすることもあるため、どこでどう作用してるかわからないからです。
人間の脳は意外といい加減な思考をします。
自分が見たものや経験でモノを測ることが多いため、、知らないことでも知った気になっていたりするわけです。
周りの友達が「結婚指輪は給料の3か月分」と言っているのを聞いただけで無意識のうちにアンカリングしてしまうことだってあるんですよ。
しかし対応策がないわけではありません。
簡単なことなんですが、
「おかしな値段が提示されたとき、その数字をもとに交渉する気がないことを相手にも自分にもしっかり示すこと」です。
私はあなたの提示した金額をもとに交渉するつもりはありませんよ、という断固とした意志を持ちましょう。
もう一つ、「反対のことを考える」ことも効果的です。
相手が受け入れそうな最低価格はいくらなのか、交渉決裂になったとき、相手はどの程度の損失を被るのか、などを考え、「意識を集中し、脳にしっかりと考えさせる」ことで、バイアス(偏り)のかかった思考をできるだけ排除しましょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
今回は価格の話が多いですが、アンカリングは価格に限ったことではありません。
例えば、
・目の前の人は0歳ですか?と聞いた後に年齢を聞く
・目の前の人は100歳ですか?と聞いた後に年齢を聞く
この場合、100歳ですかと聞かれた人のほうが年齢を多く見積もったりします。
知らず知らずアンカリング効果に流されていることはよくあることです。
人間の脳はわからないことに対して単純な思考で比較してしまうため、危険です。
価値=金額だけの基準だと、カモにされる可能性もあります。
例えば家を買う時。
提示価格が高いほど立派な家に見えてしまうということが起こります。
よって、提示された金額が高い=いい家ということになります。
裏を返せば、企業は安売りしたらいいという問題でもないということです。
価格が価値になるわけですから、安い=それなりのものだと判断されかねないからです。
いい材質を使った家だから高いということも当然あります。
しかし、適正価格であるかどうかはわかりません。
素人ならなおさらです。
家に限ったことではないですが、高い買い物をするときは価格が適正かどうかを判断できる人がいれば同行してもらうことをお勧めします。
極端な話、数字を出されたら全部アンカリング効果だと肝に銘じる勢いでもいいと思います。
マーケティングの勉強をしている営業マンはアンカリング効果を使っていると考えた方がいいでしょう。
もちろん営業マンの人もお客さんの意見ばかり聞いていると足をすくわれます。
気を付けましょう。
なんだか悪い印象を与えてしまったかもしれませんが、良いものを適正価格で売る、品質の悪いものを高値で買うのを回避するのにこういった行動経済学を知っておくと役に立つかと。
それに、世の中ぼったくろうとする輩もいますから、知っておいて損はないと私は思っています。
興味のある人は参考文献をいくつか載せておきますので読んでみてください。
ではでは。
参考文献
永井孝尚さんの本は面白く読めてわかりやすいのでおすすめです。
ファスト&スローも面白いですが、上下巻合わせると読むのは結構時間がかかります。
でも、いろんな本の参考文献に載っていますから、1度読んでみてもいいと思います。文庫版で安いですし。